『遠い場所から』班員日記
撮影監督作花編

誰も好きじゃないし何も話したくないと思って日々過ごしていたら人生26年目です。これからどうしよう。映画は好きです。映画の中の人間たちは好きです。好きな映画の好きなショットがどんなふうにできているかをずっとノートにメモしていたので、カメラマンも務まるだろうと思ってましたが、カメラマンがあくまで技術屋であることを完全に失念していました。なので今とても大変です。ピンボケの画を連発してヤバい。カラコレが大変。「ショットとして成立していない」「理由がわからんなあ」というダメ出しがとてもこたえる。是枝さんはほとんど大学に通わずに卒業したそうですが、どうやって卒業したのかすごく知りたいです。春学期に、先生たちに「映画監督の資質は何ですか」と聞いたことがあります。是枝さんの最初の答えは「どこでも食って寝られること」、篠崎さんの最初の答えは「諦めの早さと粘り強さが両方あること」でした。改めて考えてみると石名監督はどちらもできているので凄い。自分はキャパが全然ありません。すぐ疲れるし、疲れると黙ってしまうので陰険です。黙ることで他人に圧をかけてしまう。いつか映画を監督したいと思っていますが、キャストやスタッフに一緒に仕事がしたいと思われそうにない。『遠い場所から』のメンバーは本当に素晴らしいです。どうしてあんなに人のことが好きになれるんだろう。優しい。辛くなったときに明るく頑張れる力を一番尊敬します。撮影していて、個人的にちょっといいなと思ったショットは悉くスタッフからも講師陣からもダメ出しされているので自分のセンスが全然信用できなくなっていますが、平静を装って制作に精進しています。撮りたいと思ったショットが思うように撮れないので、好きなことをするにも能力が必要なんだということを今更ながら身に沁みて感じています。この授業に参加するのは2年目なのに、未だにこのレベル。認識が甘すぎた。それにしてもこの授業は学ぶことが多すぎる。他の学生も言っていますが、自分が今までいかに映画を「見て」いなかったかを思い知らされます。そろそろこの映画作りも終わりです。貯金もなくなりそうです。上映会が終わったら、たぶんまたアルバイトしなければなりません。とても悲しいです。今年はもっと自主性を持ちたい。そして大変だけど映画をまだまだ撮りたい。昨年夏にラピュタ阿佐ヶ谷で佐藤寿保監督の『誕生日』を観て、離人症だというビデオカメラを持った主人公につい共感してしまいましたが、『女優 林由美香』を本屋で立ち読みしたら切通理作さんが彼のモデルは自分だと書かれていて、そうなのかと思いました。ファインダー/モニターの向こうに現実を追いやるという点では同じく’93年公開の『パトレイバー2』の主題とも関連しそうで興味深い。でもオンライン授業は目が痛くなるので対面に戻るといいですね。皆さまくれぐれも体調にお気をつけてくださいませ。