こんにちは。あすみ班ブログ担当の佐藤快太です。
今回のインタビューでは美術部の堀部優さんと堀尾理沙さん、さらに衣装部の佐藤優里奈にお話を伺いました。
現場ではキャストさんやスタッフのために奔走してくれていた3人から出てくるお話はどれも、気遣いと優しさに溢れた心温まる内容となっていますので、是非最後まで読んでいただけると嬉しいです!
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ーまず、4作品の中からあすみを選んだ理由を教えてください。
堀尾:もともと教育系のボランティアで不登校児とかの担任をしていたことがあって、そういう子に対して考えることもあったし、自分も学校に行きたくないと思うこともあった。監督がそういう題材で企画を出しているのを見て、これはもうついて行こうと。
堀部:私も不登校の女の子が家でも学校でもない場所に居場所を見つけていくっていう内容に惹かれたんです。私自身高校は楽しかったけど、大学に入ってみて、なんて狭い世界に閉じ込められてたんだろうって感じて。でもその頃って学校が全てだと思っちゃうから。そこでうまういかないと落ち込んだりしちゃうんですよね。だからそういう人たちに、世界は広くて自由だって伝えたい気持ちがあったんです。
優里奈:私は、新しい価値観に触れることで、同じ状況でも視点や見方が変わるっていうことに興味がって。例えば、雨の日でもその日ならではのできることを見つけると楽しくなったりするじゃないですか。あすみにはそういう変化が詰まっているなって思ったんです。
ーありがとうございます。
3人は今までに映画の制作経験ってあったんですか?
堀尾・優里奈:…。(手で✖️をつくる)
ー笑。では何でこの授業を受けようと?
堀尾:もともと映画自体は好きだったんですけど、自分が映像を作る側に立ったことはなくて。この機会を逃すと一生できないって思ったんです。何かを作ることは好きだったし、1年生の時からそういう意欲はあったんですけど。キャンパスで作品上映会のチラシをもらったことがあって、それで(この授業を)取ろうって決めてました。
優里奈:私は土田・是枝研究室にいるから、そこに入った理由みたいになっちゃうんだけど。もともと映画や本は見る専門だったんですけど、作る側に立ってみることで何か違う視点が持てるんじゃないかなって思ったんです。
ー実際、新しい気づきはありましたか?
優里奈:例えば、背景に録音プルプルしながら持ってる人思い浮かべたり、これ美術いくらかかってるんだろうって思ったり。そういうこと考えながら映画を見るようになりました。あと、メイキングとか見るのが楽しくなったかも。
ーなるほど。
2人と違って堀部さんは映画サークルに入っているとのことですが、撮影を通して感じた、サークルとのギャップ見たいなのがあったら教えて欲しいです。
堀部:ギャップというか、私は今までサークルで撮ってたけど、ちゃんと勉強しないでただ楽しくやっていたから。「あ〜今まで全然気にしたことなかったな」って気づきと反省の連続でした。他の人や班への講評からも学ぶことがたくさんあって、映画づくりへの姿勢が大袈裟じゃなく、180度変わりました。新しく脚本を書くときも、頭の中に先生方がふわっと浮かんできて想像上のアドバイスをくれます。笑
あとは、単純に制作の予算もネームバリューも全然違うし。本当に贅沢で恵まれた経験だなって思います。
ーそれではそろそろ部署ごとの話題に移りたいと思います。
美術部のお二人の中で、撮影中の苦労話や大変だったエピソードがあれば教えていください。
堀尾:私は初めての映画撮影で、最初の現場がお茶とかリンゴとか消えもの(食べ物)いっぱいのシーンからスタートだったんです。消えものってどういう感じで準備すればいいのかとか全然分からなくて…。それが特に大変でした。
堀部:撮影中だと繋がりを見るのが大変でした。それが美術部の仕事なのかはわかんないですけど、記録もやっていたので。消えものとか持ち道具が多い作品だったから、カットで右手左手が違わないようにとか、食べ物の食べ進み具合が前後しないようにとか、編集がどうなるか分からなかったから取り敢えず見まくって、メモしてやりました。
ー2人は特に消えものがあるときには活躍してくれていましたよね。
そのほか美術部として撮影中に意識したことはありますか?
堀部:私は3つあって。1つ目は、どこが映ってもいいようにしておくことです。監督とカメラマンが現場での判断を重視することは知っていたから、急に画角を変えたとき映らないはずの場所が映って残念だと思われたくなかったし。あと美術でスケジュールがおすのも嫌だったので。2つ目は、あっても不自然じゃないけどなくてもいいものは置かないってことです。撮影リハの映像を先生方に見せたとき、不要なものが映り込んでいて集中して見れないって指摘されて。最初は正直リハーサルだから別にいいんじゃないかって思っちゃってたんですけど、よく考えたら画面に映るぜんぶが大事な内容なんだって反省して。それからは、観客がすっと映画の世界に入れるように、見ていて気が逸れるようなものは置かないよう心がけました。3つ目は、色合いと配置かな。堀尾ちゃんの絵とか衣装とか、それにロケ地もすごい素敵だったから。その中で私ができることは、現場にあるものでどれだけ映画を豊かにできるかってことだと思ったんです。刺繍のシーンとかでは、刺繍糸をどう置いたら観客が一番気持ちよく見られるかとかを気にしてやっていました。
ーすごいこだわりですね。笑
堀尾:本当。現場で堀部ちゃんがめちゃくちゃ考えてやってくていたから、私は消えものとか他のことに集中できたのかなって思う。
ーそんな堀尾さんは、準備期間は特に小道具の制作などを行っていましたが、数々の作品の中で最も思い入れのあるものを教えてください。
堀尾:全部全部。笑
どれも監督と相談しながら進めていきました。絵は、何枚も描いて直しながらやってましたね。最終的にアンモナイトの絵は、満足いく出来になったかなって思います。でも、それの下書きみたいなのも作中に必要で、それもめちゃくちゃ描いてたんで、段々飽きてきちゃいましたけど。笑
全部で10枚くらいは書いたと思います。ストラップとか表札は、古さを出すのが大変でした。
ー撮影直前のファミレスでも、いろいろ広げてストラップの汚しをやってましたよね。笑
ー衣装部も、色とか構成とかにはこだわりを持ってやっていた印象ですが、準備段階で何か意識していたことはありますか?
優里奈:構成は、3人(あすみ・咲・千里)のバランスを考えてやってました。最初の方のシーンでは、あすみとその他2人の衣装を対照的な色合いにして、物語が進んでいく中でどんどん色合いを寄せていったり。あとは、「その人に合う衣装を」って考えてましたね。その人の骨格に合う衣装を考えて決めていきました。
ーそのほか、撮影中に意識したことや大変だったことがあれば教えてください。
優里奈:大変だったのは、吉田家バッグ事件っていうのがあって。笑
当日現場に行ったら、咲さんが持つはずのバッグがなかったんです。班員でいいの持ってる人がいないかとかも探したんですけどなくって。結局、段取りとかしている間に近くのライフに買いに行って何とか間に合いました。意識したことは、キャストさんを1人にしないことかな。段取り終わって立ってる時とかに1人で待っていることがないように心がけました。
堀部:カットかかったら走ってコートかけに行ったり、凄かったよね。笑
優里奈:キャストさんに気持ちよく撮影に参加してもらえたらと思ってやってました。
ーでは最後に、この授業を通しての印象や学んだことがあれば教えてください。
優里奈:今までも何か1つの目標に向かってやっていく経験はあったんですけど、今回みたいにそれぞれが、全く違う能力を発揮して1つのものを作り上げていくのは初めてだったんです。各々の価値観とか、お金をかけたい部分はどこなのかとか、いろいろなとこに折り合いをつけて進めていく過程から学んだ部分は大きいです。あとは、とにかく楽しくできました。学びもあって、お金も時間もかけて、最高級の遊びをした感じです。
堀尾:学んだことは大きく3つあって。1つ目は、私は普段建築学科で設計をやってるんですけど、実際自分の考えたものが出来上がることはなくて、そこに不甲斐なさを感じることがあったんです。だから今回、実際出来上がっていくものの素晴らしさを感じました。2つ目はチームワークですね。他の人のことを考えて行動するとか、空気を読むとか。建築課題でそういう経験を得られませんから。今回みたいな環境に置かれて初めて、そういうことを考えられるようになりました。あとは、班員から学ぶことが多かったです。現場では優里奈ちゃんと動くことが多かったんですけど、自分のメリットどこやったて感じで、とにかく人のために動いてたんです。それがほんとすごくて。他の班員の優しさにも触れて、世界ってい広いなって。この経験を通して、自分も大人の成長を0.5とかでもできてたらいいなって思います。
ー確かに、この授業では人とのコミュニケーションを通して学んでいったことが多かった気がしますね。では、最後に堀部さんお願いします。
堀部:私もコミュニケーションから学んだことが大きかったです。人を大切にすることっていうか。なんか恥ずかしいですけど。笑
映画的なことで学んだことももちろん沢山ありましたけど、何かを作るためには人と人とが関わらなくっちゃいけなくて。なんだかんだ人間関係ってすごい大事だなって思いました。キャストさんや班員から人間的に見習いたいことが多かったんです。私は今大学4年生で、コロナもあって。新しく人と関わる機会なんてほとんどなくて、人との関わり方を忘れていた部分があったんですけど、みんなに会って、人のことを気遣うとか人の名前を覚えるとか、当たり前だけどなかなかできないことを出来る人間になりたいって思えるようになりました。今回授業をとって本当に良かったです。
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インタビューを通して、3人とも他人のいい部分を見つけるのがとてもうまいなという印象を受けました。
作品も、そんな3人のこだわりと優しさが溢れ出した内容になっていますので、また上映の機会がありましたらぜひみていただきたいです。
2021.1.27(水)