みなさん、こんにちは。ブログ担当の田口です。2021年度「映像制作実習」作品上映会が開催されてから約1週間。各作品の監督からコメントを頂いたので皆様にもお届けしようと思います。
『こねこ』山口あいり監督
作品をご覧くださりありがとうございました。初めての映画制作に戸惑いながらも、無我夢中で取り組んだ9か月間でした。上映会が終わり、まだまだ編集作業は残っていますが、心のどこかにぽっかり穴が開いたような気持ちです。
映画作りを通して、誰かと一緒にものを作ることの楽しさや喜びを知りました。私には思いつかないようなアイデアや鋭い意見をくれる班のみんなとキャストの方々のおかげで、脚本を書くことも撮影も編集も全部楽しかったです。色んな人がいて、それぞれ様々な考えや意見を持っていて、それらが集まって映画になっていく瞬間は、とても素晴らしいものでした。
今になって、作品のため、班のみんなのために監督である私がしなければならないことがあったと反省しています。頼りない私と一緒に、最後まで映画を作ってくれた班のみんなやキャストの方々、協力してくださった皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。そして、人と出会うことや一緒に活動することが難しくなっている世の中で、このような機会を作ってくださった先生方に心より感謝申し上げます。
今までの人生のなかで、一番楽しくて、一番悩んで、一番素敵な時間でした。
『弾ける』松林悠依監督 上映会を終え、すべての講義が終わってしまい、もう、教室でみんなと一緒になって集まることがないんだなと思うと、先生方の厳しく愛ある講評を聞くことできないんだと思うと、とても寂しい気持ちです。それくらい、この授業に参加するのは私にとって楽しみでした。 しかし8ヶ月間の制作過程において、暗闇の中をずっと走っているような瞬間も何度もありました。それでもなんとか立っていられたのは、長い時間をかけて、最後までこの作品に向き合ってくれたスタッフ、ご指導いただいた先生方のおかげです。そして作品を撮影するにあたり、協力してくださったキャストの皆様、ロケ地を貸してくださった皆様、本当にありがとうございます。 今回の上映会で、沢山の方のご支援、ご協力の下にこの作品ができたのだと、強く感じました。そして、観てもらう機会、人がいて、初めて映画になるんだと改めて思いました。 正直作品を観られることに対する不安よりもしっかりと最後まで完成するかの不安があり、直前までスタッフ達と「やばいやばい」「大丈夫、大丈夫」と焦りながらも最後まで諦めたくない気持ちで上映会を迎えました。(舞台上では緊張と寝不足で立っていることに必死で言いたかったことの半分以上も言えませんでした。申し訳ありません。。)なので、上映会を終えても、終わった感じがなく、まだ編集の続きにいます。上映会で頂いた皆様のお言葉を励みに、また、この作品を観ていただける機会があればと思いながら、もう少し頑張ります。 この作品を通して沢山の人と繋がれたことが私にとっての宝物です。ここまで関わってくださった皆様、本当にありがとうございました。
『回向』長谷川裕美監督 私がうまく言葉にできない感情を班のみんなが受け取って、一緒に考えて、キャストの方々が身体で表現して、撮影して、先生方につっこまれ、また撮影して、編集して、見てもらって、映画になる、その過程はとても複雑で不自由で楽しかったです。ひとりじゃできないこともだれかと一緒だったらできたり、できなかったり…、やっぱりひとりで考えなきゃいけないこともあったり…。試行錯誤の毎日はとても豊かでした。 もしもあの時こうしていれば、と映画の中で考え続ける雫のように、私も完成した作品を大きなスクリーンで見ながら、企画から完成までの間でありえた「もしも」について考えていました。 色々な後悔や反省が頭を駆け巡り、己の未熟さを痛感しながら、それでもひとつたしかに言えるのは、この作品は今の私たちだったから作れたのだということです。 うまくいかないから次こそはと思えるし、今がどんなに拙くてもきっと次がやってきて、その時はその時でまたもがきながら少しずつ進んでいくのだろうなと思います。過去が今とつながっている、今が積み重なってこれからになる、そんな当たり前のことに気付かされると同時に、この映画作りの時間を共有する仲間たちがいることが堪らなくうれしくなりました。 回向という作品は私にとって、過去の消化であり、未来への宣誓でもあります。ごく個人的な経験から始まったこの物語に関わってくださって、みてくださって本当にありがとうございました。作品とみなさまとの間でもなにかが生まれていたらいいなと思います。 改めて、関わってくださった全ての方のご厚意に感謝いたします。
『咲の朝』大西千夏監督
『咲の朝』を作っているこの9か月間には、とてつもなく苦しい瞬間と、とてつもなく楽しい瞬間の、両方がありました。
とてつもなく苦しい瞬間は、「良い作品」を作らなくては、というような自ら作ったプレッシャーに押し潰されていた時にありました。「良い作品」が何かもわからないのにそんな圧力をかけられたら苦しいのも無理はないと、今は思います。
とてつもなく楽しかった瞬間の話も書きます。みんなで作品のことを一生懸命考えたあの時間。そして、自分が想像していたもの、また班のみんなやキャストの皆様で一緒に想像したことが、想像を超えたかたちになってあらわれたあの瞬間は、間違いなく人生で最高に楽しい瞬間でした。ほんとうに、心が躍りました。
「良い作品」とは何なのか、その答えはわかりません。でも、楽しみ苦しみもがき続けた9か月間を経て出来たこの『咲の朝』は、間違いなく「良い作品」だと胸を張れます。そして作品自体はもちろん、撮影中も撮影外も、みんなでいられたあの時間そのものが、一生の宝です。赤い自転車、川原、おでん…この先の人生、どれを見てもこの眩しい時間を思い出すことでしょう。
全ての出会いに心から感謝しています。本当にありがとうございました。
重ねてとはなりますが、4作品の初上映にお立会いくださいましたすべての皆さま、誠にありがとうございました。
2022/02/01(火)
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