あけましておめでとうございます。『回向』班・広報担当の相馬です。
今回は撮影監督のアントニウス・レイナルドさんにインタビューを行いました。作品に対する技術的なこだわりや、カメラマンからみた現場のようすを語っていただきました。
―よろしくおねがいします。まずは、トニさん(みんなこう呼びます)とカメラのこれまでについてお聞きします。カメラを始めたのはいつ頃ですか?
2、3年ぐらい前ですかね。
ちょうど『万引き家族』がパルム・ドール賞を受賞したタイミングで『マスター・オブ・シネマーズ』を受講して、そこでたまたま是枝さんを知ったのが映画に興味をもったきっかけです。
同時に旅先で星野道夫、植田正治、ソールライターという写真家たちを知って、写真にも興味が湧いて、カメラを始めました。
―あ、思ってたより最近なんですね。詳しいし機材もたくさん持っているからてっきりずっとやっているものなのかと。
一気にハマりましたね(笑)。
交換留学でスウェーデンに行くことがが決まっていてたのですが、それでもやりたいという気持ちがおさまらず、おさがりのカメラを持っていって週1、2日のペースで北欧の森に出かけて森を撮っていました。
2019年に帰国した後はダブルスクールで映画学校に通って監督やカメラマンをやっていました。その年から映像制作実習の『ななめの食卓』という作品を手伝いました。そのときは録音部としてですが。
その後写真教室にも一時期通って、今はタレントやモデルのPVやMV、ポートレート撮影をしたりしています。
―怒涛の3年間ですね……。写真もやっているということですが、写真と映像のカメラマン、両方やっててどういう違いがあると感じますか?
被写体にカメラを向ける時の演出の仕方というか接し方そのものは根本的に同じなんですけど、映画はカットあるいはシーケンスごとに、写真の場合は理想の一枚一枚が撮れればいいというように、結果となる作品に求めている性質が違うのでそもそもアプローチが違う気がします。
もちろん写真にも伝えたいことや物語がありますし、ある観念のもとで企画的に撮影をして、写真集にしたり写真展を開いたりすることもありますが、写真の方が映画よりも断片的です。写真だと一枚でも作品として出せるというか。
一方映画の方は、カット/つながりがすごく大事で。何枚も何枚ものイメージを連続で見ることを前提にしているので、その分気をつけているところも変わってきますね。
―あー確かに。映像をとるときは、その時目の前に見えていない前後のカットやシーン全体のことも考えなければいけないのが難しいなと、つくってみて感じました。トニさんが今回『回向』に参加した理由はなんでしょう?
題材に興味があったからです。「死」というものにそもそも昔から興味があって、「自殺」というものも自分にとってはすごく身近なものだったので『回向』で長谷川さんがどういうふうにこれらを描くのかに興味がありました。
―みなさん長谷川監督に少なからず興味をもって参加されていますね。実際関わってみて監督は仲間としてどういう印象ですか?
監督の長谷川さんはこの作品で初めて映画の監督をしますが、吸収力がすごいです。講師たちからのフィードバックはもちろんですが、スタッフやキャストなど誰からも学ぶ姿勢が印象的です。
撮影監督として関わっていて、もちろんすれ違いがありますし、毎回時間との戦いですが、長谷川さんはやりやすくてスムーズにコミュニケーションが取りやすい方です。
最初は監督もちょっと慣れないところがあったのか、撮影後に「もっとああすればよかった」、「こう言えばよかった」って監督がポロッと口にしたこともありました。
我慢されてもいやなので、その時「変な気遣いはせず、なんでも言ってください」と言ったら、監督もすごく理解してくれました。
いろんな監督がいますが、どんな提案にもとりあえず聞いてくれますし、いい意味で長谷川さんは一人でつくっていないところがすきです。
撮影を重ねるごとに監督として成長していく長谷川さんの姿は見どころですし『回向』班の皆とこの辺の感覚は共通しているのではないでしょうか。
―共通してますねー。そんな長谷川さん率いる『回向』班の撮影現場はいかがでしょうか?
ありきたりですが、全部が大変で全部が最高に楽しいんです。もともと現場がすごくすきで、どんなに大変でも最高にワクワクして楽しんじゃいますね。
機材トラブルで三脚が壊れたりしたこともありましたが、そういうことも含めて、今、作品のために、何ができるのか、何が撮れるのかを考えるのがすきです。
『回向』班の皆ももちろんそうですし、キャストたちも大切のチームの一員で、自分で言うのもあれなんですけど、仲がいいというか、いい距離感を保たれている気がします。
―特に印象に残っている撮影は?
個人的には念仏踊りを撮るのがすごく楽しかったですね。遠方から来てくださった念仏踊りの団体にもすごく感謝していますし、あれを間近で観るだけじゃなくてカメラを向けて撮ることができるのは唯一無二の特殊な体験のように感じました。
―こちらは踊りを外からみていただけだったので、近くで見て撮っているのがうらやましかったです。
『回向』でこだわったところ、見てほしいところはどんなところでしょう?
監督やスタッフと試行錯誤しながら脚本やカット割を考えているので、気持ちとしては全部見てほしいです!が、強いて言うならば、映像のテンポ、緩急には気を配っています。
すきなところはもちろんですが、そうじゃないところ、あまりすきじゃないところも、その理由も含めて知りたいので、みていただいた皆様の意見を聞きたいですね。
―そうですね。早く観てほしいです!本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
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監督・カメラマン以外のみんなも一緒になってカメラワークを考えていくのが楽しいですが、アントニウスさんの知識・経験があってこそ楽しい現場になっていると思います。
上映会まであと約二週間、追加撮影・編集最後まで力を振り絞ります!
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-上映会情報-
日時:2022年1月22日(土)
場所:大隈講堂
入場料:無料
4作品上映予定
作品上映後に監督や教員によるアフタートークなどを企画しています。
※新型コロナウイルス感染拡大の状況により、変更、中止の可能性がございます。
2021/01/06(木)
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